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遺産分割がまとまらないのは、経営者の責任です
・遺産分割が未了のままなら、様々なデメリットあり
・基本は、「遺言」+「遺留分対策」
≪相続前≫
遺産分割がまとまらないのは、事前の対策不足
遺産分割がまとまらない場合、被相続人の財産は未分割となりますが、この間は相続人がこれらの財産を共有している状態になります。
この共有状態には、様々なデメリットがあります。相続財産が未分割のままであると、相続税の計算時に小規模宅地の評価減などの優遇措置を利用することができません。また、経営者が所有している自社株はどうなるでしょうか。自社株については、遺産分割が完了するまでは準共有といわれる共有状態となります。
仮に、上記図のように現経営者である父が210株、後継者である長男が90株ずつ所有する同族会社について、父の相続が発生したとします。すると、自社株210株が後継者である長男、会社経営に携わっていない長女と二男の3人(法定相続分各3分の1)で準共有となります。この場合、3人(長男、長女、二男)が所有する210株については共有持分ですので、代表者1人が議決権を行使することになりますが、その代表者は3人の過半数の賛成で決まります。つまり、長女と二男が手を組めば、長男は役員を解任されてしまう危険があるのです。
遺留分対策を考慮した遺言作成が正解
上記のようにならないためには、後継者が会社の経営権を確保すべく、自社株を全て後継者に相続させる、という遺言を残しておくことが必要です。
しかし、相続財産の大半が自社株である場合に、自社株を後継者に相続させると、残りの相続人の遺留分を侵害する結果となります。その場合、後継者以外の相続人から遺留分の減殺請求があれば、後継者は遺留分に相当する財産を支払う必要があります。そのための財産を後継者に対して準備しておけば、より完璧な「遺産分割対策」となります。
具体的には、後継者を受取人とする生命保険に加入しておけば、その生命保険金を遺留分支払の原資とすることができます。
※この場合の遺留分は、法定相続分の1/2、つまり長女、二男それぞれ1/3×1/2=1/6となります。
2018.8.1執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。